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基礎から解説!「結納と顔合わせの違いって?」

結納は一定のルールに則り、結納品や受書を取り交わして婚約を正式なものにする儀式です。
一方、顔合わせは両家が会場に集まり、食事をしながら交流を深めることを趣旨としています。

会場や服装にも違いがありますので、両者の違いを正しく把握してから検討しましょう。

プロポーズを経て結婚が決まったら、結納または両家の顔合わせを行うことになります。どちらも両家の親族が一堂に会するという点は共通していますが、趣旨や実施場所などに違いがあります。

結納や顔合わせを行うときは、両者の違いを正しく理解し、自分たちの要望やニーズに合った方を選びましょう。今回は、結納の基礎知識と顔合わせとの違い、結納の費用相場など、結婚を決めたカップルが知りたい情報をわかりやすくまとめました。

 

結納とは日本の伝統儀式「結納」の基礎知識
結納とは、婚約の成立を確約するために行われる日本の伝統的な儀式です。

 

当事者同士で交わされるプロポーズは口約束のようなものですが、両家の間で結納が行われると、その約束は正式なものとして認められることになります。
かつては仲人を立てて儀式を執り行うのが一般的でしたが、現在は簡略化され、両家の親族のみで結納を済ませるケースが増えています。

 

〇結納の起源

結納の起源は非常に古く、4~5世紀頃の仁徳天皇の時代まで遡ります。
仁徳天皇の皇太子、のちの履中天皇が妃を迎える際、納采と呼ばれる贈り物を贈ったのが結納の始まりとされており、現代でもなお皇族の儀式のひとつとして受け継がれています。
当時は皇族の結婚に限定して行われていた儀式ですが、室町時代には公家や武家に広まり、さらに江戸時代末期~明治初期には一般庶民の間でも結納が行われるようになりました。
語源については諸説あり、宴席で飲食する酒や肴を意味する「結いのもの」から転じたという説もあれば、「云納(いい入れ)」という婚姻を申し込む言葉が由来という説もあるようです。

 

〇結納の種類

結納は室町時代に公家や武家に広まった後、さまざまな礼法・体系が誕生しました。
一般庶民に普及した後は、さらに地域や家ごとのしきたりが生まれて多様化しましたが、大きく分けると「正式結納」と「略式結納」の2つに分類されます。

 

【正式結納】

仲人が両家の間を行き来し、結納品や受書のやり取りを行う伝統的な形式です。
結納の中で最も格式高い方法で、一般的には以下のような流れで行われます。

 

仲人が男性宅を訪問し、女性側に贈る結納品を受け取る。

→ 仲人が女性宅を訪問し、男性側から預かった結納品を渡す。
男性側への結納品と、結納品を受け取った証となる「受書」を受け取る。

→ 仲人が男性宅を再訪し、女性側から預かった結納品と受書を渡す。
男性側から女性側への受書を預かる。

→ 仲人が女性宅を再訪し、受書を渡す。
女性側が仲人に料理などを振る舞いもてなす。

 

以上の流れを見るとわかる通り、正式結納の場合、両家を行き来するのは仲人のみで、当事者同士が直接顔を合わせることはありません。
両家を行き来する仲人は負担が大きいため、両家から酒肴料と呼ばれるお礼金を手渡されるのが一般的です。
なお、今回ご紹介したのは関東式ですが、関西式の場合、最後の女性宅への訪問が省略されます。

 

【略式結納】

両家が一堂に会し、その場で結納品を取り交わす形式の結納です。
仲人を立てる場合と立てない場合の2パターンあり、後者の場合は婚約する当人または両家の親族が進行役を請け負います。
略式結納の一般的な流れを以下にまとめました。

 

両家が会場に集まる

→ 男性側から女性側に結納品を贈り、受け取った女性側が受書を
男性側に渡す。

→ 女性側から男性側に結納品を贈り、受け取った男性側が受書を
女性側に渡す。

→ 婚約指輪などをお披露目する。

→ 結納を締めた後、祝宴を催す。

 

正式結納との大きな違いは、両家が直に顔を合わせて儀式を行うところです。
仲人が行ったり来たりする手間がかからない上、両家が顔を合わせて親睦を深められることから、最近は略式結納を行うケースが大半を占めているようです。

 

結納と顔合わせの5つの違い

かつては結納によって正式な婚約を取り交わすのが主流でしたが、近年は結納に代わる手段として、顔合わせを行うケースが増えてきています。
顔合わせとは、名前の通り、婚約する当事者同士を含む両家が顔を合わせる機会のことです。
略式結納と似ていますが、両者を比較すると5つの違いがあります。

 

1. 結納品の有無

結納では、両家がお互いに結納品と受書を贈り合うことで婚約を取り交わします。
一方の顔合わせでは、両家が正式に贈り物を贈り合うという風習はありません。
もちろん、初対面のご挨拶として、お互いに手土産などを持参することはありますが、あくまで単なる贈答品であり、婚約そのものとは無関係です。当然、結納品を受け取った証として手渡す「受書」のやり取りもなく、流れそのものが簡略化されているところが特徴です。

 

2. 趣旨の違い

結納は当事者同士で取り交わした結婚の約束を正式なものにすることを目的として行われます。
一方、顔合わせはそこまで格式張ったものではなく、どちらかと言うと両家が交流する場を設け、親睦を深めてもらうことを趣旨としています。

 

3. ルールの違い

結納の場合、男性側から結納品を渡す→女性側が受け取り、受書を渡すなど、一定の手順に従って儀式を進めていきます。
一方、顔合わせでは両家のご挨拶などはあるものの、特別なルールはなく、食事をしながら自由に交流するのが一般的です。

 

4. 会場の違い

正式結納の場合、両家が直に顔を合わせることはありませんが、強いて言えば仲人が行き来する両家のお宅が会場となります。
一方、顔合わせはホテルやレストラン、料亭などを会場にするパターンが多いようです。
なお、略式結納の場合、会場は顔合わせと共通していますが、地域によっては女性側のお宅で催されることもあるようです。

 

5. 服装の違い

正式結納の場合、当事者はもちろん、両親も正礼装で仲人をお迎えします。
男性と父親は五つ紋付羽織と袴を。女性は振袖、母親は黒留袖または五つ紋の色留袖をそれぞれ着用します。

略式結納の場合は、男性と父親はブラックスーツ、女性は黒以外のワンピースやスーツ、振袖、訪問着などの準礼装・略礼装を採用します。

母親は振袖の代わりに付下げや色無地を着るのが一般的です。一方の顔合わせは、ほぼ略式結納の服装と共通していますが、女性は服の色に関係なくワンピースやスーツを選んでOKです。
相手への礼を失しない程度の上品なスタイルなら、必要以上にドレスコードを意識しなくて良いでしょう。

以上が結納と顔合わせの主な違いです。
両家が顔を合わせる略式結納と顔合わせは混同されがちですが、趣旨や流れが大きく異なりますので注意しましょう。

 

〇結納と顔合わせ、どちらを選ぶべきか

かつては結納以外の選択肢は存在しませんでしたが、現在は顔合わせという新しいスタイルの台頭により、どちらを選ぶべきか悩むカップルも増えています。
結婚情報誌「ゼクシィ」でおなじみのブライダル総研が行った結婚トレンド調査2019によると、結納のみ行った人はわずか2.9%に留まっているのに対し、両家の顔合わせのみ行った人は82.6%と圧倒的多数を占めています。
一方、両方行った人は10.0%と全体の1割を占めていることから、結納よりも両家の顔合わせを重視していることが伺えます。[注1]ただし、結納と顔合わせの実施状況に関しては地域差もありますので、当事者同士の要望はもちろん、両家の意向も踏まえて慎重に検討されることをおすすめします。

 

〇結納費用の相場

結納を行うことになった場合、会場費や食事代、結納品代などさまざまな費用が発生します。
ここでは項目ごとに結納費用の相場をまとめました。

〈食事代を含む会場費の相場〉
ブライダル総研の結婚トレンド調査2019によると、食事を含めた結納費用の全国平均は23.1万円で、5万円以上15万円未満が全体の5割以上を占めています。

一方で、結納に30万円以上かけたという人の割合も1割を超えており、ケースによる差が大きいことが伺えます。[注1]
たとえばレストランの場合、半数の人は15万円未満で収まっているのに対し、残り半数の人は30万円以上の費用をかけています。

また、ホテルや結婚式場を利用した場合は5万円未満で収まったケースはなく、最低でも5万円以上の費用が必要になるようです。
結納の会場費は当事者同士が折半するパターンが多いですが、どちらか一方のパートナーまたは両親が負担する場合や、両家で折半するケースもあるようです。

 

〈結納品の費用相場〉

両家が結納の場で贈り合う結納品費の全国平均は18.1万円です。
ただし、結納品の費用相場は地域差が大きく、北海道や茨城、栃木、群馬が平均5万円以下であるのに対し、最も高い関西圏の平均は41.9万円に達しています。[注1]

ほかの地域と比べて特に品目数が多いわけではなく、一品あたりの単価がほかより高い傾向にあるようです。
結納の会場費や食事費は折半するケースがほとんどです。結納品は各々の家で用意するため、両家で差が出ることもあります。

〈結納金の相場〉

結納金とは、相手の家に入るための支度金として渡されるお金のことです。結納品は両家がお互いに贈り合うものですが、結納金は家に入ってもらう側が用意する決まりです。

一般的には男性側が女性側に渡しますが、もし男性が女性側に婿入りする場合は、女性側が男性側に結納金を渡します。
結納金の相場の全国平均は93.9万円ですが、基本的には50万円や100万円など、きりの良い金額を用意します。内訳を見ると、100~150万円未満の割合が最多です。ほとんどの方は100万円を結納金として包んでいるようです。

[注1]ゼクシィ結婚トレンド調査 2019
https://souken.zexy.net/data/trend2019/XY_MT19_report_06shutoken.pdf

【まとめ】

結納や顔合わせは両家と相談しながら決めましょう結納や顔合わせは当事者だけでなく、両家の親も含めた一大イベントです。
片方の意向ばかり重視すると、トラブルの原因にもなります。
日程の都合はもちろん、結納と顔合わせのどちらを選ぶか、会場をどこにするかなど、両家で話し合いながら慎重に検討しましょう。

とくに、結納と顔合わせでは、流れや趣旨、結納品の有無などに違いがあります。まずは、どちらを選ぶか決めてから細かい打ち合わせを行うとよいでしょう。